ジャンル | アドベンチャー |
ハード | PS4 |
メーカー | アトラス |
発売日 | 2019年3月14日 |
レビューバージョン | v1.00(PS4Pro) |
Good
13人が織りなす複雑で興味深い群像劇
アクションで有名なバニラウェアが送り出す最新作は意表をつくアドベンチャーでした。しかしながらそのストーリーは13人の主人公による群像劇でかなり本格的なSFタイムトラベル作品となっています。
今回プロローグ版で確認できた部分では、各主人公がつかず離れず絶妙な交わり具合で物語は進みます。どの主人公も一癖二癖ある個性的なキャラクターに仕上がっていて、短いプレイ時間の中でも特徴をすぐに覚えられると思います。
時代設定は過去から現在、そして未来までを含んでいて、複雑な物語が紡がれますが群像劇形式で整理されているため、ただ難解なだけでなく魅力的なシナリオとなっています。本作でも既にその片鱗を見せており、15分程度のキャラ別シナリオは全て先が気になるいい所で終わってしまうので、予告編としての役割を十分果たしており本編への期待感を煽ってくれます。
難易度は易しめのわかりやすいADV
プロローグ版ならではという可能性もありますが、プレイできる範囲においては難易度は優しめです。一般的なノベル型アドベンチャーとは異なり、自分でキャラクターを操作して話かける対象を選んだり、入手したキーワードの説明を読んだり、キーワードをキャラクターにぶつけてストーリーを進めるというシステムは、適度にプレイヤーを物語に介入させてくれます。
一般的なアドベンチャーに搭載されているバックログ機能も用意されていて難解なストーリーを振り返ることができます。また、ストーリーは完全フルボイスというのも没入感を高めてくれます。13人による複雑な群像劇ではあるものの、徐々に操作できるキャラクターがアンロックされていくため、進行で詰まるというようなことはありませんでした。
職人技が光る精密なグラフィック
ヴァニラウェアといえば毎回やりすぎという程に緻密に描かれるグラフィックが特徴的な開発会社ですが、アドベンチャーとなった本作でもその職人技は健在でした。特に時代をまたぐ本作では、その時代における風景の空気感、文化などをうかがい知ることができるキャラクターの服装や小物など、どれもこだわりを感じることができます。
アドベンチャーということでキャラクターのアクションこそ少なめではありますが、テンポよく動き動き、仕草などもとても細かく見ているだけで癒されます。こうした繊細な映像であるが故に、アドベンチャーでありながら動かすことが楽しい作品に仕上がっていました。
Bad
体験版に近い内容なのは咎めない
本作は15分程度のシナリオが13人分ということで、クリアまでのトータルは3時間前後となります。クオリティは高いですが、時間的に短いという事実は感じるでしょう。一般的なアドベンチャーゲームの体験版ではこれくらいのプレイタイムとなるものが無料で配信されていたりもします。プロローグ版を入手する方法は複数(一番安価なDL版、コレクション用途のパッケージ版、お得に入手できる別タイトルへのおまけ収録)存在するため、自分にあった入手方法を考えみてください。
Evaluation
キャラクター、背景、ロボットなどの描き込みはヴァニラウェアならではの職人技が光る。同社開発では珍しいアドベンチャー形式の作品とう意味で新鮮さも感じる。SF色を全面に押し出し、タイムトラベルという魅力的な題材を13人の主人公による群像劇で描く複雑なシナリオには引き込まれた。一方、アドベンチャーとしては難易度の易しめでシステムも単純なものである。体験版に近い作りではあるが、本プロローグのテンションを維持できれば本編は間違いなく傑作となるであろう予感を感じさせる作品である。
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