ゲームスナッチ管理人のユウ(@gamesnatch1988)です。。Steamで2019年8月にAnnapurna Interactiveより発売となったアドベンチャー「Telling Lies」をクリアしたのでレビュー記事を作成しました。
目次でチェック!
ゲーム概要
ジャンル | アドベンチャー |
ハード | Steam PS4(海外:日本語字幕あり) |
メーカー | Annapurna Interactive |
発売日 | Steam:2019年8月24日 PS4(海外):配信中 |
価格 | Steam:2,050円(税込) PS4(海外):19.99$ |
レビューバージョン | Steam |
ストーリー
「Telling Lies」は、盗み出された NSA(アメリカ国家安全保障局) データベースが入った持ち主不明のノートPCの前に座るプレイヤーという状況から始まります。
そのPCには膨大な量の映像が収められています。
映像の中身は、2年間にわたる4人のプライベートな生活を録画したもので、衝撃的な事件により4つのストーリーが結び付きます。
検索ワードを入力してデータベースを探索し、ワードが出てくる映像を見て、ストーリーの全貌を明らかにしていきます。
(Steamサイトより引用)
評価点
ペンとメモを用意して挑む
特殊なゲーム性のため、簡単にプレイ方法を最初に記載しておきます。上記記載のストーリーからもわかるように、大量の動画データベースが保存されたノートPCの前に座る謎の人物が主人公となります。映像は4人の主要人物を録画した2年分のデータとなっており、プレイヤーにできることは単語検索して結果として表示されるワードに関連する動画を見ていくことだけ。閲覧した動画の中で気になるワードを検索して関連動画を探し、そしてまたその動画の中から気になったワードを検索し、ということを繰り返し事件の真相に迫っていくという流れになります。
このような仕様のため、デジタルゲームではありますが(余程記憶が良くない限りは)ペンとメモは必須です。(検索は字幕内の単語をドラッグ指定することでも可能。)気になるワードは次から次へと登場するため、気になるワードをメモに残しながら謎を紐解いていくこと推奨です。また、ゲーム内では人物相関図や時系列などを整理する機能などもないため、ワードだけでなく得られた情報をメモとして整理していくとより楽しめると思います。(ゲーム内のデスクトップにメモ帳があるのでそこにメモすることも可能です。)
一見面倒くさいように思えますが、このペンとメモを使っての謎解きは、プレイヤーが実際に謎解きをしているということを強く実感させてくれますし、他に類似したゲームを知らなかったため、新鮮な体験となりました。
美しくなった実写映像
本作は「Her Story」の後継作となっており、ゲーム性はほぼ同じです。「Her Story」では取調室での事情聴取の短い動画の集まりであったのに対し、「Telling Lies」の動画群は撮影場所もバラエティ豊かで、登場人物も多彩、そして動画自体のクオリティも上がっており、美しい映像となりました。「動画を検索して見る」というシンプルなゲーム性のため、映像自体のクオリティが上がっているのは嬉しい進化でした。
主要人物4人を演じる役者の方々の白身の演技も見どころの一つでした。映像自体が謎解きとなっているため、人物の表情や仕草や台詞の抑揚など細かな要素も重要な手がかりとなります。(これには重大な欠点も存在するのですが後述します。)単純な映像作品としてみても楽しめる内容でした。
嘘つきだらけのストーリー
前作「Her Story」では殺人事件の調査という目的がありましたが、本作では主人公は何のためにノートPC内の動画を検索しているかという目的自体もはっきりとしないままゲームが開始されます。
「Telling Lies」という題名通り、本作の登場人物の言動は嘘だらけです。どの言葉が嘘か、どの言葉か真実かはプレイヤーが映像から推理していく必要があります。閲覧する動画も時系列がバラバラですので、全体の流れを掴むために頭を整理しながら進めていかなくてはなりません。この部分が面白いポイントでした。
プレイヤーによって再生する動画の順番が異なるため、ストーリー進行の仕方もプレイヤーごとに異なります。エンディングはマルチエンディングになっていることもあり、プレイヤーごとにうける印象も異なるかと思います。
問題点
謎解きとストーリーが薄まった
前作「Her Story」が1分前後の短い動画の集まりであったのと比較して、本作の動画は長い動画が多いです。それによって前作では凝縮していた謎解きと物語が本作では薄まってしまっています。謎解きに直接関係ない部分も多いため焦ったい場面が散見されました。早送り巻き戻しも3倍速でできますが、ドラッグ維持しなければならず、操作性も良いとはいえないのも残念でした。
字幕だと表情などが読み取れない
日本語字幕がついているのは嬉しい限りなのですが、謎解きは映像情報が全てなので、字幕だと顔の表情や背景の細部などが確認しづらいのが欠点です。贅沢ですが日本語音声が欲しいところでした。
エンディングを迎えても謎が残る可能性
エンディングを迎えた時点では物語の全体像が掴めない可能性があります。特定の動画にたどり着いた時点でエンディングとなりますので、プレイヤーにとってはスッキリしない結末となることもあるでしょう。クリア後にも映像検索と閲覧はできるので、それで補完する必要が出てくるかもしれません。逆に言えばクリア後の楽しみもあります。
総合評価
名作「Her Story」の後継的作品。ノートPCに格納された動画データベースをワード検索して、結果として得られる動画を視聴していくというシンプルなゲーム性ながら熱中度は高い。美しくなった映像、豊富なロケーション、多彩な登場人物、迫真の演技など、動画のクオリティは大幅に進化している。「Telling Lies」という題名通り、本作の登場人物の言動は嘘だらけである。何が嘘で何が真実か。プレイヤーは注意深く動画を閲覧し、謎を解かなければならない。ペンとメモを駆使して情報を自分で整理しながら真実に迫るプレイは、他のデジタルゲームでは体験できないユニークなものだ。動画視聴時の操作性と前作より若干薄まったストーリーの密度は気になるものの、アドベンチャーゲームの可能性を押し広げた傑作であることは間違いない。
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