ゲームスナッチ管理人のユウ(@gamesnatch1988)です。。Switchで2020年5月にroom6より発売(開発はhako 生活)となった謎解きアドベンチャー「アンリアルライフ」をクリアしたのでレビュー記事を作成しました。
目次でチェック!
ゲーム概要
ジャンル | アドベンチャー |
ハード | Switch |
メーカー | room6 |
発売日 | 2020年5月14日 |
価格 | 2,400円(税込) |
レビューバージョン | v1.0.00 |
ストーリー
記憶喪失の少女は、しゃべる信号機と出会いました。
少女には「さわったモノのキオクを読み取る力」があるようです。
──少女は自分の記憶の手掛かりとなる「先生」を探すため、 信号機とともに不思議な夜の街へと旅に出るのでした。
記憶をたどった先に、待っているのは……。
(公式サイトより引用)
評価点
少女と信号機の不思議な旅
記憶喪失の少女「ハル」とAI搭載の喋る信号機「195」との出会いから物語は始まります。何も覚えていない少女「ハル」は「195」とともに朧げな記憶の中にある「先生」を探す旅に出ることとなります。しかし、目覚めた世界はどこか不思議で、出会う人々も犬、骸骨、マリモやネズミなど一癖も二癖もある人々ばかり。
不思議な世界の住人に助けられながら「ハル」は少しづつ世界の謎に迫っていきます。最初はちぐはぐな関係の「ハル」と「195」ですが、長い旅の中で息のあったチームワークを発揮するようになっていきます。この二人の奇妙な信頼関係も見どころの一つです。
ストーリー重視の作品のため詳細は記載しませんが、序盤から散りばめられた伏線と記憶喪失から始まった謎だらけだった物語は、終盤のスピーディな展開でモヤモヤが残ることなくスッキリと解決されます。謎を解いた後、もう一度最初からプレイしてみたくなる魅力が詰まったストーリー構成も見事だと感じました。
幻想的な夜を彩る青の世界
全篇ピクセルアートで描かれる幻想的なグラフィックは優しくそして儚い雰囲気を感じさせてくれます。物語とリンクして夜をメインとした「青」が象徴的なビジュアルです。「ヨカゼ」のコンセプトアートに記載されている「世界に浸ろう。 風が夜更けを知らせてくれるまで。」というキャッチコピーの通り、落ち着いた夜に一人でプレイしたい雰囲気を持った作品でした。
癒しの「青」の対比として、不穏なホラー的演出な「赤」の表現も印象に残ります。ゆったりペースで進む物語ですが、アクセントとして謎を提示していて、プレイヤーの早く先へ進みたいというモチベーションを高めてくれました。
プレイヤーを惹きつける美しいドットグラフィックだけではなく、世界観にピッタリとマッチしたピアノ中心の楽曲や、足音や電車の線路の音など環境音、さらには効果的に使用されたHD振動など、細部まで徹底的にこだわって製作されていると感じました。
程よいヒントが心地良い謎解き
アンリアルライフのジャンルは謎解きアドベンチャーとなっています。基本的にはオーソドックスなポイント&クリックのシステムを踏襲していますが、主人公「ハル」のモノの記憶を読み取る能力である「サイコメトリー」を駆使した謎解きが本作の特徴の一つとなっています。過去と現在を照らし合わせることで浮かび上がる違いをヒントをもとに解いていく謎解きはわかりやすく新鮮に感じました。
謎解きは突き放した造りではなく、相棒となる信号機「195」が助言をくれたり、HD振動で調べる場所を知らせてくれたり、物語の進行に合わせて追加される「私の考え」をメニューから読んでみることなどでヒントが提示されます。簡単すぎず難しすぎないため、魅力的なストーリーを進めるのに集中できるとともに、解いたという達成感を感じられる心地良い難易度に設定されています。
ストレスフリーな配慮が行き届いている
メニューを開くことで、テキストログ、サイコメトリーしたモノの記録、物語の進行に合わせて追加される(謎解きのヒントにもなる)「わたしの考え」を読むことができます。これはプレイ開始した直後から到達点までの全てが記録されていますので、物語を振り返るのにも便利です。。
ストーリーが進み行動できる場所が増えてくると、ショートカットも追加されます。(凝った作りではないものの)本作はマルチエンディングが採用されていますが、バッドエンドに到達してしまった場合にも直前の分岐点でオートセーブされていますので、すぐにやり直すこともできます。
できる限りプレイヤーにストレスを感じさせず、謎解きをアクセントとしたストーリーに没頭できるように、システムとしての配慮が行き届いていていました。
問題点
トライ&エラーの際に少しテンポが悪い
ゆったりとしたペースで進行するのが特徴の「アンリアルライフ」ですが、気になったのは主人公の歩く速度が遅めであることです。ストーリーを進める上では気にならないのですが、謎解きでトライ&エラーを繰り返す場合、行ったり来たりすることが多いため、歩行速度の遅さが少しテンポの悪さに繋がっていると感じました。
総合評価
幻想的な夜を象徴する「青」を効果的に使用したピクセルアートが印象的な謎解きアドベンチャー。見慣れぬ世界で目覚めた記憶喪失の少女「ハル」と喋るAI信号機「195」が朧げな記憶の謎を求めて、ちょっと不思議な世界を旅していく。本作の特徴とも言えるサイコメトリーを利用した謎解きはヒントの導線が絶妙で心地よい難易度となっている。癒しの雰囲気の「青」と対照的な「赤」を使用した少し不穏なシーンを効果的に挿入することで、ストーリーのその先の展開へ興味を掻き立ててくれる。序盤から散りばめられた謎が整然と収束していく終盤の展開も見事で、物語の完成度も高い。インディーレーベル「ヨカゼ」の今後の展開が楽しみである。
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