ゲームスナッチ管理人のユウ(@gamesnatch1988)です。。PS4/XboxOneで2020年1月にスクウェアエニックスより発売となった(開発はDONTNOD)アドベンチャー「Life Is Strange 2」をクリアしたのでレビュー記事を作成しました。
目次でチェック!
ゲーム概要
ジャンル | アドベンチャー |
ハード | PS4/XboxOne/Steam |
メーカー | スクウェアエニックス |
発売日 | 2020月3月26日 |
価格 | 4,980円+税 |
レビューバージョン | v1.01(PS4Pro) |
ストーリー
ある悲劇的な事件の後、兄のショーンは、超能力に目覚めた弟ダニエルを連れ、自分たちの居場所を求めて父親の故郷であるメキシコ「プエルト・ロボス」までの逃避行を始めます。
世間の目を逃れてシアトル、ポートランド、カリフォルニアと旅をする中で、様々な選択をしていきますが、それらの選択が、出会う人々と弟ダニエルの人生を変えていきます。
特にまだ小さく、危険な力を持ってしまったダニエルは、兄の立ち振る舞いに大きく影響を受けるため、どう行動するかは慎重に選ぶ必要があります。ただし、今は良さそうに思える選択が、後々良い結果をもたらすとは限りません……。
(公式サイトより引用)
評価点
センス抜群のグラフィックと音楽
前作から正統進化したグラフィックとセンス抜群のカメラワーク、海外ドラマ風の演出、効果的な音楽の挿入など、「Life Is Strange」らしさを至る所に感じることができます。前作と比較して重厚なストーリーですが作品が持つ”おしゃれ感”は健在です。
人物のモデリングはリアル調ではなく少し手書き感のある味のあるグラフィックですが、表情や仕草などもとても細かく、多彩な登場人物が表現豊かに描かれています。探索パートで調べられる小物オブジェクトも妥協なく配置されており、各地を旅するストーリー中の風景や舞台もつい見入ってしまうほど美しく進化しています。
美しい音楽と場面にあった歌入りの楽曲も効果的に挿入され、作品全体の雰囲気を洗練させてくれています。日本語吹き替え日本語字幕の丁寧なローカライズで、声優さんの演技も素晴らしく物語に没頭させてくれました。
過酷な兄弟二人の旅路を綴るロードムービー
本作は兄弟二人旅を描いた物語で、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州と各地を旅する海外ドラマ風のロードムービー型アドベンチャーになっていて、その旅感も魅力の一つです。そこに人種差別や移民問題、同性愛などの社会問題を散りばめることで物語に深みを持たせてあります。エピソードごとに変化のある舞台が用意され、登場人物もエピソードごとに変化するため、プレイの区切りがつけやすいです。海外ではエピソード単位で配信されていましたが、国内版は一つのパッケージとしてまとめられいます。
旅で出会う個性豊かな登場人物たちは必ずしも主人公にとって好意的な人物ばかりではありません。時には悪意に晒されながら兄弟はお互いを想い成長し絆を深めていきます。過酷な出口のない旅の中で様々な人物と出会いと別れを繰り返しながら、兄弟が辿り着く結末は果たして幸せなものなのか。複数に分岐するエンディングは余韻を引く素晴らしい出来ですので、ぜひプレイして確かめてみて欲しいと感じました。
多くのマルチエンディングを採用したゲームのトロフィー/実績設定には、「各エンディングをコンプリートする」といったものが多いですが、本作にはそのようなトロフィーはありません(収集要素がほとんどで周回を促すトロフィーはない)。考え過ぎかもしれませんが、プレイヤーが辿った旅路は唯一無二のもの、結果を受け入れて物語は完結とすることも楽しみ方の一つかもしれません。
重くのしかかる容赦のない選択肢
序盤で起こる悲劇的な事件により警察からの逃亡を余儀なくされる兄弟の旅路が描かれるため、本作で提示される選択肢は非常に重くプレイヤーのモラルを問われる容赦のないものが多いです。特に専用のカットシーンが挿入される選択肢にプレイヤーは頭を悩まされることになるでしょう。ゲームでこれほど葛藤した体験ができたことは非常に貴重であるとともに、本作の魅力の大部分はここにあると思いました。
操作するのは兄のショーンのみとなります。超能力を使用できる弟のダニエルは操作できないので、ここが前作と決定的に異なる部分です。自分だけに影響を与える選択であればまだ決断できるものの、幼い弟が常にそばにいて、兄がとった選択が弟にも影響を及ぼす(良い影響も悪い影響も)ため、慎重に判断しなければなりません。後戻りできない選択はプレイヤーごとに異なる体験と果たして自分のとった行動は正しかったのかという疑念をもたせてくれます。
プレイヤーがとった選択肢は各エピソードの終了時点で閲覧することができ、オンラインであれば他のプレイヤーがとった選択肢の統計を見ることができます。自身は多数派なのか少数派なのか、自分がとった行動は正しかったのか間違っていたのか、他人との比較を元に振り返ることができるのはゲーム的で非常に興味深い要素でした。
細かく作り込まれた寄り道オブジェクト
本作は基本的に会話中心のアドベンチャー作品ですが、各シーンに配置された数々のオブジェクト類を調べることができ、主人公ショーンの反応を音声付きで楽しむことができます。その他にも携帯の着信やメールをみたり、PCを調べてサイトをチェックすることができたりして、一つ一つが非常に作り込まれています。バッグを調べることで、地図を確認したり、持ち物を見たり、調べたポスターや写真、収集物である記念品を確認したりすることもできます。エピソードを超えて蓄積されていくため、旅していることを実感することができました。
無料体験版のThe Awesome Adventures of Captain Spirit
製品版には含まれていませんが、無料配信されている体験版の「The Awesome Adventures of Captain Spirit」も完成度が高いので宣伝させていただきます。本編と同じシステムとなっていて、本編で描かれない物語を独立して描いており、体験版としては贅沢な内容となっています。
本体験版でとった行動は本編にちょっとしたお楽しみとして反映されますし、本編への期待を高めることができるので、本編を始める前にぜひプレイしていただきたいです。
問題点
全体的に雰囲気が重く辛いシーンが多い
逃亡劇のきっかけとなる事件がプレイを開始してすぐに発生するため、全編通してプレイ中重く辛いシーンがとにかく多いです。「ゲームは楽しむもの」というのは一つの見方ですので、なぜ「ゲームで大変な思いをしなければ」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。個人的にはゲームでは滅多にできない貴重な体験ができたと感じましたが、万人におすすめできるタイトルではないというのも事実です。
カットシーンの占める割合が多い
前作では主人公マックスが超能力を使用できていたのでゲームに介入する要素が多かったのですが、本作の主人公は基本的に普通の人間ですので、会話シーンが主となり見ているだけのシーンが増えました。会話やドラマや探索が面白いので引き込まれるのですが、人によっては退屈な場面が多いと感じるかもしれません。
総合評価
衝撃的な事件で幕を開け、ショーンとダニエルの兄弟は過酷な旅路を歩むこととなる。主人公ショーンの取る様々な決断はプレイヤーごとの物語に変化をもたらし、弟ダニエルにも影響を及ぼす。決して後戻りはできない。ゲームという媒体でこれほど辛い経験を強いることは挑戦的であるが、唯一無二の”奇妙な人生”をプレイヤーに体験させてくれる。前作とは幾分作風は変わってはいるが、正統進化した手書き風でリアルなグラフィックや効果的に挿入される音楽、作品全体がもつおしゃれな雰囲気は紛れもなく「Life Is Strange」である。扱う問題の重さとプレイヤーを悩ませる容赦ない選択肢は辛い体験でもあり万人受けする作品ではないのかもしれないが、前作とは異なる方向に進化した完成度の高いアドベンチャー作品である。
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