ゲームスナッチ管理人のユウ(@gamesnatch1988)です。。XboxOne/Steamで2019年8月にBloober Teamより発売となったサバイバルホラーアドベンチャー「Blair Witch」をクリアしたのでレビュー記事を作成しました。
目次でチェック!
ゲーム概要
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
ハード | PS4/XboxOne/Switch/Steam |
メーカー | Bloober Team |
発売日 | XboxOne/Steam:2019年8月31日 PS4/Switch:2020年6月25日予定 |
価格 | XboxOne:3,500円(税込) Steam:3,090円(税込) PS4/Switch:4,800円(税別) |
レビューバージョン | v1.01(XboxOneX) |
ストーリー
この森で身の毛もよだつ恐怖が目覚める。
時は、1996年。メリーランド州バーキッツビル近郊にあるブラック・ヒルズの森で、一人の少年が消息を絶った。過去に心の傷を負った元警官のエリスとして、あなたは森の捜索を始める。いつもと変わらぬ捜査から始まった出来事は、己の恐怖とブレアの魔女にかけられた森の呪いが立ちはだかり、終わりのない悪夢へと変わっていく。
(公式サイトより引用)
評価点
音響と独特の映像表現が恐怖を掻き立てる
本作を開発したのは、「Layers of Fear」「>observer_」などのホラーゲーム開発で実績のあるBloober Teamです。原作となる映画「The Blair Witch Project」で画期的であった一人称視点の映像描写を継承していて、ゲームではありきたりな一人称視点ではありますが、映画へのリスペクトを多くの点で感じることができるサバイバルホラーアドベンチャーです。
映像はインディー作品としてはかなりレベルが高く、プレイの大部分を占めるブラック・ヒルズの森は美しくも不気味で臨場感あるグラフィックで魅せてくれます。森のざわめきや地面を踏みしめる足音など環境音と合わせて、少なめながら不気味で効果的な音響もシーンを盛り上げ恐怖感、そして不安感を煽ってきます。バイノーラル録音されているので、ヘッドホンでプレイすると迫力が満点で恐怖体験も数倍になるのでオススメです。
特に終盤訪れることとなる魔女の家では、「Layers of Fear」を彷彿とさせるBloober Teamらしいループ映像演出や視点変更で変化する家の構造などで閉塞感と狂気を感じられる素晴らしい演出で恐怖は最頂点に到達し、そのテンションを保ったまま余韻のあるエンディングへと誘ってくれます。
原作をリスペクトしたカメラを使用した謎解き
原作となった映画版「The Blair Witch Project」で重要なキーアイテムであるビデオカメラが本作でも登場します。ゲーム序盤に入手できるこのビデオカメラを使用した謎解きが用意されていて、随所で感じられる原作へのリスペクトの一つとなっています。
舞台となる魔女の森ではDVテープが落ちていることがあり、このDVテープをビデオカメラで再生することで過去の映像を現実に反映させることができます。DVテープの重要なシーンを再生、早送り、巻き戻しで探し出し、一時停止させることで、障害となるものを取り除いたり、キーとなるアイテムを入手したりすることができます。
暗いシーンが多いので懐中電灯が必須アイテムとして存在しています。一見懐中電灯があればビデオカメラの暗視モードは必要ないと思えますが、(条件等は伏せますが)トゥルーエンドを目指す場合、暗視モードが活躍することになり、原作映画の恐怖体験をなぞることもできるかと思います。
バディであるバレットとの絆
前述したビデオカメラの存在と合わせて本作のアイデンティティとなるのが、バディである愛犬バレットです。過去のトラウマから不安障害をもつ主人公はバレットといることで精神を安定させています。バレットがいない状態が続くと主人公の精神状態が悪化し、それがゲームプレイにも反映されることで孤独感を演出しています。実際、森での単独捜索は心細く、バレットの存在を何度も頼もしく感じることがありました。
バレットはただの主人公に追従してくる愛犬というだけでなく、褒めたり叱ったり、餌をあげたりと色々コミュニケーションを取ることもできますし、捜索対象の匂いを嗅がせて証拠品を探し出したり、敵となる邪悪な存在をいち早く察知して教えてくれたりといったゲームシステム部分にも深く関わっています。前述のビデオカメラとバディであるバレットの存在が本作をユニークなホラー体験として作り上げています。ネタバレとなるので詳しくは記載できませんが、バディとなるバレットに対するプレイヤーの選択がエンディングに影響を与えることもあるでしょう。
謎多き考察しがいのある緻密な物語
原作となる「The Blair Witch Project」から2年後、一人の少年が行方不明となり、主人公であるエリスは愛犬バレットとともにブラックヒルズの森に捜索に加わります。当初は少年の捜索で自分の力を示したいと躍起になるエリスですが、不可解な現象に遭遇し、徐々に狂気の世界へと足を踏み入れていくこととなります。
ネタバレになるので多くは語れませんが、主人公の過去のトラウマと上手く絡めたストーリープロットや、上司やパートナーであるジェスとの無線通信による会話、道中で入手できる収集物であるテキストや写真などで物語を徐々に深掘りする構成は見事です。原作映画を知っているとニヤリとできる要素も少なくはありません。
本作はマルチエンディングを採用していて、初回はほとんどの方ノーマルエンドへ行き着くことになりますが、そのエンディングは本作のジャンルがホラーであることを痛感させられる内容となっています。トゥルーエンドが用意されていて、その条件はなかなかに厳しいですが、考察を促す良いエンディングであると感じました。
問題点
暗いシーンが多く迷いやすい
舞台が森ということもあり、似た景色が続くため迷いやすいです。さらに暗いシーンが多いこともそれに拍車をかけておりゲームプレイが中断してしまうことが頻繁にあるかもしれません。収集要素を集めるのもその分大変になっています。特にトゥルーエンドを目指す場合は「迷い」に苦戦するかもしれません。しかし、森の中での孤独感や迷いからの不安感への演出にもなっているため、一概に問題となる要素ではないと思います。
マルチエンディングの変化が少ない
本作はマルチエンディングを採用しています。各エンディングへ到達する攻略手順は大きく変化するものの、その報酬となるエンディングの変化が少々小さく感じました。考察を促す良いエンディングなのですが、もう少しルート変化のボリュームが欲しかったです。
総合評価
インディー作品としては傑出したグラフィックとバイノーラル録音された音響は迫力満点で、ヘッドホンでプレイすると不安感や孤独感で恐怖を感じ、先へ進むのを躊躇してしまうほど。ゲーム作品としてみても、ビデオカメラによる謎解きとバディとなる愛犬バレットの存在が本作をユニークなものとしている。特に物語終盤で訪れる魔女の家では、Bloober Teamの得意とする恐怖演出を最大限に発揮しており、プレイヤーのテンションを最高潮に保ったまま、余韻を感じるエンディングへと誘ってくれる。マルチエンディングの変化が少ない、画面が暗い場面が多く迷いやすいといった欠点はあるものの、原作となる映画版「The Blair Witch Project」へのリスペクトを強く感じることができる最高のサバイバルホラーアドベンチャーのひとつである。
BIOHAZARD RE:2 Z Version – PS4
コメントはこちら