ゲームスナッチ管理人のユウ(@gamesnatch1988)です。。PS4/Switch/XboxOneで2019年10月(Steam版は2019年3月)にBeep Japanより発売(Steam版はHeadup, WhisperGames)となったポイント&クリック型アドベンチャー「Trüberbrook」をクリアしたのでレビュー記事を作成しました。
目次でチェック!
ゲーム概要
ジャンル | アドベンチャー |
ハード | PS4/XboxOne/Switch/Steam |
メーカー | Beep Japan (Steam版はHeadup, WhisperGames) |
発売日 | Steam:2019年3月12日 PS4/XboxOne/Switch:2019年10月24日 |
価格 | PS4/Switch/XboxONe:3,500円(税込) パッケージ版は4,000円(税込) Steam:3,090円(税込) |
レビューバージョン | v1.02(PS4Pro) |
ストーリー
1960年後期にヨーロッパでバカンスを過ごす自分を想像してみてください。あなたは若いアメリカ人科学者、ハンス・タンハウザー。名前にはすぐ慣れます。
その間にトルバーブルックを想像してください。冷戦中のドイツ、都会から離れ木々が密集した森の中にある村を。なぜなら、そこがヨーロッパ大陸の旅の途中、あなたがたどり着く場所なのです。でも気にすることはありません。結局その旅行も福引で当たったようなものなんですから!
どうであれ、そんな感じです。でも怖がることはありません。休息どころか、あなたが世界を救うことになるんですから…
(公式サイトより引用)
評価点
ミニチュアのような現実感溢れるグラフィック
本作をプレイしてまず感じるのはその独特なグラフィックのインパクトです。景色や背景は実際に製作されたミニチュアを3Dスキャナで取り込み、デジタル処理して作られているそうです。結果としてディフォルメだけど現実感を感じる、ミニチュア独特の温かみがある本作ならではのグラフィックを実現しています。
美しい夜景、寂れた町、豊かな自然から部屋の内装まで、ロケーションごとに様々な小物を含めて作り込まれていて見ているだけで引き込まれます。「Trüberbrook」の映像はゲームファンには馴染みが薄くユニークで素晴らしい出来になっているので、本作の一番のセールスポイントになっています。
SFを取り込んだ奇妙な世界観
海外のTVドラマ「ツイン・ピークス」や「X-ファイル」から影響を受けているとのことですが、「Truberbrook」をプレイしてすぐに「ああ、なるほど。」と感じました。寂れた田舎が舞台であること、主人公がボイスレコーダーを多用していること、どこか奇妙でおかしな登場人物など、多くの点で「ツイン・ピークス」の手法をストレートになぞっていると感じました。
ほのぼのとしたオープニングからスタートして、ゲーム序盤に起こるある事件から物語はサスペンス色を帯びてきます。さらに少しレトロなSF的な題材を大胆に投入し、プレイヤーの興味を引いてきます。この奇妙な世界でユーモラスに溢れた日常を体験できるのは本当に楽しい体験でした。
古典的だが親切設計のポイント&クリック
システム自体は古典的なポイント&クリックのシステムを踏襲していますが、背景上の調べられるポイントを可視化してくれていたり、謎解きの際に使用できるアイテムを自動で選択してくれたりと、色々と親切な設計も取り入れられています。
しかし、親切設計ではあっても適度な難易度が設定されていて、(難易度にムラはあるものの)謎解きの手応えはしっかりと感じさせてくれます。調べられる箇所は比較的多く、後述する欠点はあるものの、クリックした際の反応も読んでいてユーモアに溢れていると思いました。
問題点
短く消化不良な物語
評価点で書いた通り、本作は実際に製作したミニチュアを取り込んでグラフィックを制作しています。想像するにかなり手間のかかる手法ですので理解はできるのですが、ゲーム的に見ると少ないロケーションと消化不良な短い物語となってそれが露出してしまっています。せっかく作り上げた魅力的な世界を活かしきれていない印象を受けました。
因果関係がわかりにくく総当たりになりやすい
本作は典型的なポイント&クリック型アドベンチャーであり、道中で発生する問題や謎を入手したアイテムを使用して突破していくこととなります。しかし、難易度にムラがあり(特に終盤)ヒントが不十分と感じるところがあり、プレイが中断することがありました。原因は謎と解決策の因果関係がわかりにくいところで、総当たりになりがちな箇所が散見されました。
不便なアイテム確認画面
アイテム管理画面といったものが存在せず、入手したアイテム一覧は確認できるものの詳細を振り返ることができません。あるメモを入手した際に一度だけ詳細を確認できるのですが、いざ謎解きの際にメモを確認しようとしてもできないので、スクリーンショットや現実のノートにメモをとっていないと攻略上詰むような仕様(ここ一箇所ですが)になっているのは残念でした。
翻訳が十分でない
国内版の発売に伴い基本的には日本語翻訳(音声は英語)されていますが、クリックで調べられる看板や名簿や本などについては翻訳されておらず、少々残念な日本語版となっています。また中盤に披露されるとあるバンドの楽曲も歌詞が翻訳されていません。ポイント&クリックは調べた際の反応で色々と物語を深掘りさせることができるので、もう少し丁寧なローカライズが欲しかったです。
総合評価
実際に製作したミニチュアを3Dにデジタル処理して取り込んだ温かみのある現実感溢れるグラフィックは、他のゲームでは見ることができない一番のセールスポイント。アート的な側面が強いがゲームファンならばこの映像は一見の価値はある。「ツインピークス」や「X-ファイル」を意識した独特なレトロSFを取り込んだ世界観も魅力的で、どこか奇妙な登場人物たちも興味深い。ポイント&クリック型アドベンチャーとしては堅実な出来で、難易度にむらはあるものの、謎解きの手応えはしっかりと感じることができる。不親切な日本語ローカライズや短すぎる物語、改善が必要なインベントリーシステムが足を引っ張っていて、説明不足な結末には満足できないかもしれない。アイデンティティはあるものの惜しい作品で、そういった問題点を許容して楽しめるかがポイントである。
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